フォーカルセラピー

体に優しい 新しい治療です

前立腺がん治療フォーカルセラピー

前立腺すべてを摘除するのではなく、前立腺を温存し、前立腺内の一部に見つかった「がんの部分」とその周辺のみを治療する方法です。尿漏れの回避と性機能の可能な限りの温存を目指し、「がんの制御」と「生活の質の維持」とを両立するための新しい前立腺がん治療です。※西日本では京都府立医科大学附属病院に続き、2施設目の導入です。(2022年1月1日現在)

フォーカルセラピーの特徴

フォーカルセラピーの特徴

フォーカルセラピーは、治療が必要な部分だけを局所的に治療する新しい方法です。治療方法はさまざまありますが、代表的なものが「マイクロ波熱凝固治療」です。電子レンジと同じ仕組みを応用した技術で、マイクロ波を用いてねらった部分だけを高温にすることでがん組織を死滅させます。

前立腺は射精に関連する臓器であり、また勃起を調整する神経が前立腺に接して走っているため、前立腺全体と周辺に影響が及ぶ治療では射精機能や勃起機能が失われる合併症の危険性があります。また、前立腺の下には尿漏れを防ぐ尿道括約筋もあり、尿漏れなどの排尿障害をきたす危険性もあります。フォーカルセラピーは病巣部分だけを治療することが可能なため、こうした合併症を最小限にとどめ、性機能等の治療前の機能を温存することで「生活の質」をできる限り維持することを目指します。

Q&A

Q1.手術時間はどのくらいかかりますか。
A1.1時間程度です。
Q2.入院期間はどのくらいですか。
A2.通常2泊3日です(前日入院、手術翌日にカテーテル抜去し、症状を確認して退院)。
Q3.手術全体の費用はどのくらいでしょうか。
A3.保険適用外で、70万円程度です。

Focal Therapy&A

男性のからだを
横から見た図

前立腺のある場所と周囲との関係
男性のからだを横から見た図

治療範囲

フォーカルセラピー

前立腺全体ではなく、
癌とその周囲(青の丸)のみを治療します

フォーカルセラピー がんとその周囲(青の丸)のみを治療します
治療の対象外となるがんの位置

以下のような位置にがんがある場合は
フォーカルセラピーを施すことはできません。

治療の対象外となるがんの位置
勃起に関連する神経と隣接している
治療の対象外となるがんの位置
複数のがんが両側や広い範囲に存在している

フォーカルセラピーが選択される病期

横にスクロールしてご覧ください。
フォーカルセラピーが選択される病期

フォーカルセラピーを選択する基準

  • point1
    がん病変が一つだけで、前立腺内にとどまっていることがMRI画像で見えていること。また、前立腺生検でがんと確定していて、病変の悪性度と大きさの両方がフォーカルセラピーに適切な程度であること。
  • point2
    この治療による利益が不利益に勝る状態であること。
フォーカルセラピーが選択される病期

治療法としてフォーカルセラピーが適格かどうかは、医師の適正な判断が必要です。
また、患者様への十分な説明と患者様の十分な理解が大切です。

  • ・前立腺がんの中には悪性度が低くゆっくり進むものもあり、すぐに治療しなくてもよい場合があります。
  • ・がん病変はMRIで見えているよりも実際には大きな場合があります。
  • ・がん病変が機能温存の目的にかなわない場所にある場合があります。

マイクロ波による凝固療法は、肝臓がんや子宮内膜症に対する治療として保険収載されています(K697-2 肝悪性腫瘍マイクロ波凝固法、K863-3 子宮鏡下子宮内膜焼灼術)。当院で行う前立腺がんに対するマイクロ波凝固療法は、令和4年1月現在では保険未承認であり自由診療対象ですが、今後の保険適用拡大を目指して臨床研究開発中の治療法です。

使用機器は、肝臓がんや子宮内膜症に対して使用されているものと同様に、アルフレッサファーマ社製の焼灼術用電気手術ユニット「マイクロターゼ」と、この機器に接続する凝固用の針(いずれも医薬品医療機器等法上承認済み)を使用しますが、承認されている使用目的とは異なります。日本国内の4施設のみで実施されている治療法(令和4年1月現在)のため、安全性に関する諸外国の情報はございません。

治療に際して予想される副作用としては、前立腺周辺臓器の損傷とそれに伴う機能障害、出血・浮腫、感染症などが想定されます。加えて、麻酔方法・体位(截石位)に関連した一般的なリスクが想定されます。また、前立腺に関する特異的な副作用については、同意・説明文書にて患者様に対する説明を行っています。

フォーカルセラピーが選択される病期
Focal Therapy Osamu Ukimura, MD, PhD

日本人医師 浮村 理教授が米国で開発した新しい治療法

前立腺がんのフォーカルセラピーは、京都府立医科大学・浮村 理教授が世界に先駆けて米国の臨床現場で研究開発し、日本ではまだ保険未承認の新しい治療選択肢です。

経歴・資格
京都府立医科大学1988年卒、医学博士。京都府立医科大学泌尿器科教授。
日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本超音波医学会専門医・指導医。da Vinci Professional Surgeon Certificate、米国California州医師免許(2009-現在)。
海外勤務歴
MD Anderson癌センター講師(1997-1998)、Cleveland Clinic研究博士(2004-2006)、南カリフォルニア大学癌センター泌尿器科臨床教授(2009-2015)、同癌センター非常勤臨床教授(2015-現在)

医師紹介

京都田辺中央病院でフォーカルセラピーが受けられます

京都田辺中央病院泌尿器科部長大橋宗洋(おおはし むねひろ)

専門分野:
前立腺癌、腎癌、膀胱癌
専門医等:
日本泌尿器科学会専門医・指導医
da Vinci System console Surgeon Certificate

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