赤ちゃんの頭のかたち外来

赤ちゃんのための専門外来完全予約制赤ちゃんの
頭のかたち外来

向き癖によるあたまのゆがみは
生後6ヶ月くらいまでなら治療することができます。

赤ちゃんの頭のかたち外来とは?

赤ちゃんの頭の歪みが保護者の心配事となっていることがあります。
向き癖による頭位性斜頭は生後6ヶ月くらいまでなら治療できることをご存知ですか?

ご予約・お問い合わせ先

0774-63-1111(電話予約のみ)

予約受付時間:平日 午後2時~午後4時
外来日:毎週木曜日(初診午前・再診午後)

頭蓋変形について

日本では長らく赤ちゃんの頭の形が変形していることをあまり気にしてこなかった風潮があります。多少の歪みがあっても、「そのうち良くなる」とか「個性の一つ」と言われることが多く、そのまま成長した人が大半と思われます。しかし重症になると顔面の変形が起こったり、年頃になるとヘアースタイルに悩んだり、精神的ストレスの原因になりかねません。欧米ではもともと頭蓋変形に対する意識が高かったのですが、今世紀に入ると日本でもその影響を受けて頭の形を気にするご家族が増えてきました。

赤ちゃんの頭の歪み

早期に対応すれば、
治療が不要のこともあります

赤ちゃんの頭の歪みは、そのほとんどが胎内での頭の位置や出生後臥床時の向きぐせの影響で起こる頭位性斜頭であり、病気ではありません。片側の後頭部の平坦化に始まり(写真1)、耳の位置が前方に移動、前額部が突出し(写真2)、さらに強くなると顔面の歪み(写真3)も生じます。さらに、側頭部や頭頂部が過剰に突出し、後頭部全体が平坦化すると、頭蓋前後径に対する横径の比率が高くなる短頭、いわゆる絶壁(写真4)となります。重症になる前や生後1〜2か月で体位変換を積極的に行えば、自然に改善することもあります。

頭蓋変形には
病気が隠れていることも

非常に稀ではありますが、先天性の病気で頭の形が変形することがあります。その一つに頭蓋縫合早期癒合症があります。出生時には頭蓋骨はいくつかの部分に分かれ、縫合という隙間が認められます。そのことで、産道を通りやすくしたり、頭を大きく成長させたりすることができます。この縫合の一部または全部が生まれつき消失(癒合)していると、頭蓋骨が正常に成長できず頭蓋変形を生じます。頭位性斜頭とは変形のしかたが違うため、専門家が見れば異常かどうかを判定することができます。この場合は手術による治療が必要になります。その他にも治療を必要とするさまざまな疾患があります。赤ちゃんの頭のかたち外来では、このような異常を早期に発見することも可能です。

頭蓋形状矯正ヘルメット

頭蓋形状矯正ヘルメットに
よる変形の治療

近年、頭位性斜頭や短頭に対してヘルメットによる治療が行われるようになりました。現在日本で医療機器として認められているヘルメットがいくつかありますが、当院で採用しているヘルメットは、ミシガン式頭蓋形状矯正ヘルメットです。2012年に国立成育医療研究センターで導入され、徐々に治療できる病院やクリニックが増えてきました。この治療は保険適応外の自由診療ですが、治療希望者は年々増加傾向です。ミシガン式頭蓋形状矯正ヘルメットと他社のヘルメットの一番の違いは、ヘルメットの作成過程です。赤ちゃんのヘルメットは全て頭の大きさや形に合わせて作るオーダーメイドです。ですから、まずは赤ちゃんの頭の型取りが必要です。他社のヘルメットの場合、型取りで得られたデータからヘルメットの形状を決定し、実際のヘルメットが出来上がるまではすべてその会社で行われます。治療する医師や装具士は出来上がったヘルメットを使って治療をおこないます。一方、ミシガン式頭蓋形状矯正ヘルメットは、型取りしたデータを治療する医師が専用のソフトを使用してヘルメットの形を決定してゆきます。出来上がった鋳型をもとに工場でヘルメットが作成されます。治療する医師によってヘルメットの形状に違いがでる可能性がある一方、赤ちゃんの頭の形や月齢に合わせて形状や大きさを細かく調整することが可能です。また出来上がったヘルメットと実際の頭の形の違いがよくわかっているため、治療中のヘルメットの微調整も的確にできると思われます。

当院では複数のヘルメットを
取り扱っています

当院では2019 年からミシガン式頭蓋形状矯正ヘルメットによる治療を行ってきましたが、この度新しくPMDA から医療機器として認可をうけたリモベビー(株式会社グンゼメディカル)とベビーバンド(株式会社Berry)を追加して採用しました。頭蓋矯正の効果はヘルメットの種類によらず同等であると考えられていますが、それぞれのヘルメットには特徴があります。赤ちゃんやご家族にとってより良いヘルメットを選択できるよう外来でご説明いたします。

ヘルメット費用(治療費含む)

種類 費用(税込)
ミシガン式・リモベビー 44万円
ベビーバンド 38万円
2023.04.01現在

赤ちゃんに優しい治療

当院ではこのような頭蓋変形に対するトータルケアを目指して頭のかたち外来を行っています。
頭蓋変形の診断とヘルメット治療を日本小児神経外科学会認定医である脳神経外科医が行います。

ヘルメット治療のおおまかな流れは図のとおりです(図1)。
初診時は、保険診療にて頭蓋変形の診断を行います。頭位性斜頭の診断が確定され、保護者がヘルメット治療を希望し、同意していただいたところで自由診療開始となります。
専用のLEDスキャナを用いて頭の形をコンピュータに取り込み、オーダーメイドのヘルメットを作成発注します(写真①)。出来上がったヘルメットを約6か月間、1日23時間装着します。3〜4週に1回ヘルメットの調整と効果を確認するため通院が必要です。
基本的に首のすわっている生後4か月から6か月ころの赤ちゃんが治療の対象になりますが、それ以外でも担当医が治療の適否を個別に判断いたします。ヘルメット治療に合わせて、向きぐせを改善させる訓練などを同時に行うことが勧められ、小児専門の理学療法士が対応しております。また必要に応じて発達を専門にする小児科医の診察も受けていただきます。治療が終了したら、再度頭の形をスキャンし、治療効果をご報告いたします(図2)。

治療中のトラブルなど、よく検討して
から治療をご決断ください

ヘルメット治療の効果を得るには、正しい装着方法で23時間程度装着する必要があります。
外来にて適宜ご指導させていただきますが、装着方法が不十分な場合には満足できる結果が得られない可能性があります。また、ヘルメットをかぶっている間、汗疹などの皮膚にトラブルが起こることがあります。必要に応じて薬を処方したり、皮膚科医に相談したりします。そのほかに重大な副作用や合併症は想定されず、当院でも現時点までは経験していません。
治療中は赤ちゃんの様子をよく観察したり、ヘルメットのお手入れをこまめにしたり、また臨時で来院が必要になったりと保護者の負担になることは事実です。治療のリスクと効果について十分に理解した上で、治療を開始することをお勧めします。治療開始前に外来で納得いただけるよう説明いたします。

ヘルメット治療の
おおまかな流れ

(図1)
ヘルメット治療のおおまかな流れ

ヘルメット作成過程

ヘルメット治療のおおまかな流れ
(写真①)
ヘルメット治療のおおまかな流れ
(図2)

治療例

(※ご家族の同意を得ています)

治療例1/男児

治療例1 図

治療開始時生後5か月 重度の短頭と斜頭があります。
治療終了時生後12か月 短頭が改善(横径に対して前後径が大きく成長)しました。斜頭も改善し、自然な頭蓋形態になりました。側方からみても、前頭部および後頭部に丸みがでているのがわかります。

治療例2/女児

治療例2 図

治療開始時生後6か月 重度の左斜頭があります。
治療終了時生後19か月 生後6か月を過ぎてヘルメットを開始する場合、改善率が下がりますが、長期間装着することによって良い結果が得られました。

治療例3/男児

治療例3 図

治療開始時生後4か月 重度の右斜頭があります。
治療終了時生後11か月 頭蓋の前後径に対する横径の比率は低い(長頭)ため、その比率をほとんど変えることなく、斜頭を改善することができました。

ご予約・お問い合わせ先

0774-63-1111(電話予約のみ)

予約受付時間:平日 午後2時~午後4時
外来日:毎週木曜日(初診午前・再診午後)

医師紹介

脳神経外科 担当医師 高橋麻由

赤ちゃんの気になる頭のかたちは
専門医にご相談を!

当院では、このような頭蓋変形に対するトータルケアを目指して、頭のかたち外来を行なっています。頭蓋変形の診断とヘルメット治療を日本小児神経外科学会の認定を受けた脳神経外科医が行います。赤ちゃんの頭の形が気になったら気軽に受診して下さい。

脳神経外科 担当医師 高橋麻由

専門医・認定医資格 日本脳神経外科学会専門医
日本小児神経外科学会認定医 日本神経内視鏡学会技術認定医
日本内分泌学会内分泌代謝専門医 日本脳卒中学会脳卒中専門医

1997年
産業医科大学医学部卒業後、
脳神経外科教室入局
2003年
脳神経外科専門医取得後、
フランスネッカー小児病院、チモーヌ病院小児神経外科に2年間留学
2009年
博士号取得
2018年
より現職
2021年
東京赤坂・
赤ちゃんのあたまのかたちクリニック