整形外科
整形外科のご紹介
整形外科とは運動器の疾患を扱う診療科です。身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能改善を目指して治療する外科です。骨折などの外傷をはじめ、膝や股関節の変形性関節症や肩腱板断裂などの関節の老化現象、関節リウマチ等の関節疾患、膝半月板損傷、膝前十字靱帯損傷や肩の脱臼、野球肘等のスポーツ障害、腰部脊柱管狭窄や椎間板ヘルニアといった脊椎疾患、骨粗鬆症などが代表的な疾患です。
主な対象疾患
骨折、変形性関節症(膝関節、股関節)、肩腱板断裂、
膝半月板損傷、膝前十字靭帯損傷、肩脱臼、野球肘、
腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、関節リウマチ
当院整形外科の特色
現在4名の常勤医師を中心に診療を行っています。そのうち3名が専門医で日本整形外科学会施設認定を取得しています。
外来診療は月曜日から土曜日に行い、診療は地域連携室を通じて地域の医院や他病院と連携して、予約も受け付けています。関節リウマチや骨粗鬆症などの特殊外来を設け、脊椎疾患に関しては脊椎センターで治療をしています。
手術は骨折全般をはじめ、股関節・膝関節の人工関節、変形性膝関節症に対する骨切り術、肩腱板断裂に対する鏡視下縫合術、膝関節・肩関節・肘関節のスポーツ障害に対する各種手術や頚椎や腰椎の脊椎手術を行っています。
また京都府立医科大学の整形外科とも連携し、特殊な疾患などについても対応しています。
代表的疾患と治療法
骨折の治療
当院は救急病院であるためケガで搬入される方が多く、骨折の手術をたくさん行っております。ギプスやコルセットでよい結果が得られる場合は手術をしない方法(保存療法)を行いますが、保存療法より早く機能回復が得られる場合は手術療法をお勧めしています。手術を行う場合は初診日から1週間以内に行うことが多いですが医学的に必要であれば当日の緊急手術を行います。
特に近年の超高齢化社会に伴って増加している高齢者の大腿骨近位部骨折に対しては、48時間以内に手術を行った場合は1年後の死亡率を下げるという報告をもとに、できるだけ48時間以内に手術を行うようにしています。また高齢者の場合、手術後のリハビリも長くかかることが多いため、手術後のリハビリは当院の関連施設である京都田辺記念病院の回復期リハビリテーション病棟で充分なリハビリを行ってから退院していただけます。
また高齢者の大腿骨近位部骨折の患者さんは退院後の再骨折(二次性骨折)を心配する必要があります。当院では高齢者の大腿骨近位部骨折の患者さんに対して骨粗鬆症の検査を行い、必要に応じて骨粗鬆症の治療を開始し、近隣の医院との協力のもとで治療を継続して参ります。
変形性膝関節症の治療
膝の痛みの原因となる変形性膝関節症とその治療法
変形性関節症とは関節の軟骨が老化現象ですり減ることによって関節の痛みが生じる疾患です。主に膝関節に生じます。膝関節の軟骨のすり減りは40~50歳頃から始まり、年齢とともにすり減っていきます。特に体重が重いとすり減る速度が早まります。軟骨がすり減ることにより必ずしも痛くなるわけではありませんが、炎症が伴うと痛みが生じます。当院では年齢とともに軟骨のすり減り具合と炎症の程度によって治療方針を決めていきます。軟骨のすり減りの程度はレントゲンで判断し、炎症は局所の腫れを観察し判断します。軟骨のすり減り具合にかかわらず、主に炎症が生じている場合は抗炎症剤(痛み止めの湿布や内服薬またはヒアルロン酸の注射)で治療します。しかし抗炎症剤でも痛みが改善しない場合は手術を行います。手術の方法として50~70歳の方で軟骨のすり減りの程度が軽度または中等度の場合は骨切り術を行い、65歳以後で軟骨のすり減りの程度が高度であれば人工関節手術をお勧めしています。人生100年時代を迎えるにあたって、最近では80~90歳の方でも重大な持病がなければ人工関節手術を行い、手術によって歩きやすくなっておられます。
当院における人工関節手術の特色
人工膝関節手術や人工股関節手術は主に高齢の患者さんに行われます。一般的に70歳前後までであれば手術後2~3週間で退院が可能となりますが、75歳以後の場合は手術後のリハビリは長くかかるため、当院では75歳以後の場合は1~2カ月、85歳前後では2~3カ月程度入院していただいております。早く退院できることはいいことですが、まだ充分に歩けない状態で退院し、退院後も毎日のようにリハビリ通院することは、本人にとっても、その送り迎えをする家族にとっても大きな負担になります。よって当院では関連施設である京都田辺記念病院の回復期リハビリテーション病棟で手術後のリハビリを充分行ってから退院していただいております。
また人工関節手術を受けられる患者さんに対して、当院では公的な医療費助成に関する窓口を設けています。手術を入院にかかる費用が自己負担限度額を超える場合は一般的に高額療養制度を利用していただくことになりますが、当院では更生医療制度も利用していただくことができるため、自己負担額を更に減らすことが可能になる場合があります。世帯所得などの条件によって異なりますので、詳細に関しては当院窓口にご相談ください。
膝関節半月板損傷・靱帯損傷
半月板損傷・前十字靱帯損傷などの膝関節疾患に対して関節鏡視下の手術を中心に行っています。半月板損傷に関して従来は切除術が一般的でしたが、術後の関節軟骨の老化を防ぐため縫合術も行っています。術後の筋力回復が関節機能の再建には重要であるため積極的に筋力トレーニングを行っています。膝関節靭帯手術等の詳細に関しては専門医にご相談下さい。
肩関節脱臼・腱板断裂
関節脱臼・腱板損傷などの肩関節疾患に対しても関節鏡視下手術を行っています。
関節脱臼・腱板断裂などの肩関節疾患に対しては、リハビリテーションによる機能回復が基本となりますが、解剖学的破綻が許容できない場合には関節鏡視下手術を主に行っています。関節脱臼はMRI等を参考に易脱臼性や反復性を認める場合に脱臼制動術を行います。関節鏡視下関節唇縫合術が基本ですが、より高い制動性が必要な場合に鳥口突起移行術を併用します。腱板断裂は放射状MRIを用いた詳細な画像診断を行っています。腱板修復術は低侵襲手術の鏡視下縫合術を行っています。一時修復困難な広範囲の場合には、筋前進術を用いた低浸襲手術を主に行っています。肩関節手術の詳細に関しては専門の担当医にご相談下さい。
骨粗鬆症
骨粗鬆症の治療には診断が重要です。原則50歳以上の方に問診・骨量検査・X線検査等をお勧めしています。また骨粗鬆症性骨折後の二次骨折予防を積極的に行っています。診断確定後にそれぞれの病態に応じた薬物治療を開始します。治療目標は骨強度の低下に伴う骨折の防止です。骨折の連鎖を引き起こすと、寝たきりや寿命の短縮に繋がるため、積極的な治療が大切です。大腿骨近位部骨折後の患者様には骨粗鬆症リエゾンサービスを行っており、かかりつけ医との連携を心がけています。信頼性の高い骨量測定機器DXA、血液検査等を使用した診断や薬剤効果判定等の専門的診療を行っています。
脊椎センター
対象疾患は、頚椎から腰椎まで背骨を中心とする疾患です。手足の麻痺や痛みなどの原因となる脊椎脊髄疾患に対して、詳細な検査を行い、ブロックや手術等の適切な治療を実施します。患者さんの日常生活動作の障害を取り除いて、快適な生活を過ごせるようになって頂く事が、脊椎センターの目標です。
生活の質に関わる脊椎疾患
『腰』は、月(にくづき)の要(かなめ)の通り、我々にとって重要な体の器官の一つです。急性腰痛症(ぎっくり腰)程度なら数日の辛抱で済みますが、ひとたび神経痛が生じると、悶々とした日々を送る事になり、仕事もままなりません。ひどい時には、痛みだけでなく、足の力が入らなくなり、ついにはおしっこさえ出せなくなる事もあります。普段は意識することのない背骨ですが、変調を来すと生活にひどく悪影響を及ぼします。『首』についても、肩こり程度ならまだしも、手指の自由が効かなくなり、箸が使えなくなったり、字が書けなくなったり、しまいには自分で立てなくなったりする事があります。御本人にとっては大変な問題ですので、脊椎疾患は適切なタイミングで適切な治療を行なう事が極めて重要です。神経症状の程度や経過、社会的背景などからベストと思われる治療法を選択し、確実に実施するために、当院では専門的な立場で治療を行なう脊椎センターを設立致しました。
当センターの治療方針
脊椎センターでは、CT、MRI等の機器を用いて、脊椎疾患の正確な診断を行います。診断には画像所見だけではなく、詳細な臨床症状の把握が大事なのは言うまでもありません。症状経過に応じて、ブロック等の積極的な保存的治療や手術的治療を選択します。一口に手術といっても、侵襲の軽いものから高度なものまで種々あります。当院では、筋肉を温存しながら除圧を行なう低侵襲手術を第一選択としております。通常、手術翌日から歩行開始し、術後1週間程度で退院が可能になります。
背骨のぐらつきが大きい場合には、金属ネジを用いた固定術を行う事がありますが、この際にも徹底して筋肉損傷を避け、出血の少ない術式を選択することで、輸血や長期臥床を回避しています。また、手術に際しては、最新の手術用顕微鏡を用いて、顕微鏡視下の安全な手術を心掛けております。
当センターでは、質の高い医療サービスを通じて、地域医療連携に貢献したいと思います。脊椎疾患に関して、お気軽に当センターへ相談して頂ければ幸いです。
リウマチ科の紹介
関節リウマチは自己免疫により滑膜増生し関節破壊をきたす病気ですが、 2000年以降関節破壊を抑える薬が多数登場し、 今では関節破壊を食い止めることが可能となりました。 当院では生物学的製剤をはじめすべての抗リウマチ剤の使用経験がありますが、 同時に副作用にも注意が必要なため、 病態と効果や副作用について患者さんに理解していただき、 お互いにコミュニケーションをとりながら最善の治療を選択しております。日本リウマチ学会の指導医、専門医が担当しています。
診療内容
関節リウマチは、膠原病(こうげんびょう)といわれる免疫異常(自己免疫疾患:本来は細菌・ウイルスや腫瘍などの自己と異なる異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対して過剰に反応して攻撃を加えてしまうことで症状をきたす疾患の1つ)です。
関節周囲を主な発症部位とし、腫れ・こわばり・痛みなどと全身のだるさなどの体調不調を感じることもありますが、症状はさまざまで診断が難しい場合もあります。
血液検査(CRP、赤沈、RA因子、抗CCP抗体等)や画像診断(X線・MR検査―早期の関節リウマチに伴う滑膜炎が疑われる際には造影MR検査を行っています)などを行い総合的に判断します。
従来は抗リウマチ薬で病気の勢いを沈静化し関節の破壊や進行を抑えるのが治療目標でしたが、近年は生物学製剤による薬物療法で臨床的寛解(関節の腫れや痛みがほぼなくなってしまうくらいの改善)やそれ以上の効果が期待できることもあります。
生物学的製剤による薬物治療には感染症などの合併症を伴うことがあり、専門科部門(循環器科、高血圧科、糖尿病代謝科、消化器科等)の専門医師とともに診療にあたっています。
変形が進行して薬物治療の改善が期待できない関節には、装具により日常生活を改善したり、手術治療による関節機能の改善をお勧めしています。
医師紹介
整形外科部長
國友 泰輔(くにとも たいすけ)
京都府立医科大学医学博士
京都府立医科大学 客員講師
- [出身大学]
- 北里大学
- [専門分野]
- 関節外科(膝関節・股関節)、骨折外傷、スポーツ
- [専門医等]
- 日本整形外科学会専門医・指導医
日本整形外科学会スポーツ医/日本整形外科学会リウマチ医
- [所属学会]
- 日本整形外科学会/日本骨折治療学会/日本肩関節学会
中部整形外科災害外科学会
整形外科医長
竹島 稔(たけしま みのる)
- [出身大学]
- 京都府立医科大学
- [専門分野]
- 関節外科(肩関節・肘関節)/骨折外傷/骨粗鬆症
- [専門医等]
- 日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会運動器
リハビリテーション医
日本整形外科学会スポーツ医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
- [所属学会]
- 日本整形外科学会
日本骨折治療学会
中部整形外科災害外科学会
日本肩関節学会/日本肘関節学会
日本足の外科学会
日本臨床スポーツ学会
日本骨粗鬆症学会
日本リハビリテーション医学会
整形外科医長
長島 新吾(ながしま しんご)
京都府立医科大学医学博士
- [出身大学]
- 京都府立医科大学
- [専門分野]
- 腰椎、頸椎等の脊椎、脊髄
- [専門医等]
- 日本整形外科学会専門医
- [所属学会]
- 日本整形外科学会
日本脊椎脊髄病学会
中部整形外科災害外科学会
日本骨折治療学会
整形外科医員
森戸 貴規(もりと たかき)
- [出身大学]
- 兵庫医科大学
- [所属学会]
- 日本整形外科学会
中部日本整形外科災害外科学会
日本肘関節学会
整形外科医員
坪倉 正行(つぼくら まさゆき)
- [出身大学]
- 京都府立医科大学
- [所属学会]
- 日本整形外科学会